第8回 FFIT学術賞受賞者
青木孝文 ( Aoki Takafumi )
東北大学大学院情報科学研究科 教授
(所属は、2008年10月1日現在) |
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受賞テーマ | 位相情報に基づく超高精度画像マッチングとその応用に関する研究 |
◇◇業績概要◇◇ 画像マッチングは,画像センシング,映像信号処理,コンピュータビジョンなどのさまざまな分野で重要になる基本処理である。 青木氏は,画像の位相情報に基づく一連の超高精度画像マッチング技術を『位相限定相関法(POC:Phase-On1y Corre1ation)』として体系化するとともに, 産学連携研究を通して広範囲の応用に適用してきた。まず1990年代に,バイオメトリクス認証のための生体画像の照合技術として位相限定相関法の研究開発に着手し, 指紋照合システムを実用化している。この基本原理は特許庁の「標準技術集」に登録され,従来の特徴点方式に代わる新方式としてその有効性が広く認知されている。 その後,同技術の拡張を行い,1/100ピクセル級の位置合わせ精度を有する超高精度画像マッチング手法を考案するとともに,工業市場向け超高速画像認識システムを実用化している. これは,ピクセル分解能の壁を突破できる新しい画像センシング技術へ道を拓く成果であり,バイオメトリクス認証や工業用マシンビジョンのみならず,顕微鏡画像解析,レーザースペックル計測, 受動型3次元計測,車載カメラ,映像信号処理,LSI動作解析などの広範な応用において多大なインパクトを与えつつある。 |
高木 剛 ( Takagi Tsuyosi)
公立はこだて未来大学システム情報学部 教授
(所属は、2008年10月1日現在) |
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受賞テーマ | 公開鍵暗号の高速実装理論の研究とその応用 |
◇◇業績概要◇◇ 暗号技術は安全な情撮社会を支える通信インフラとして広く利用されているだけでなく、電子決済方式、著作権保 護システム、電子入札システムなどの情報セキュリティシステムにも応用され始めている。申請者は、公開鍵暗号 の高速実装理論の研究において50編以上の論文を発表するなど優れた業績を上げてきている。1995年~2001年は NTT研究所においてRSA暗号の高速実装の研究、2002年~2005年はドイツ・ダルムシュタット工科大学の助教授と して楕円曲線暗号の研究に従事してきた。2005年からは、公立はこだて未来大学において次世代暗号として注目を 集めているペアリング暗号の研究を行っている。現在までに、情報セキュリティ分野の国際会議のプログラム編集 委員を50件以上務め、海外の大学や研究ワークショップにおいて招待講演を15件行ってきた。また、民間企業 や政府系の研究機関(NIbT,IPA等)と12件の共同/委託研究を実施し10件 の共同特許出願を行った。以上のように、公開鍵暗号の研究において理論および実用の両面から顕著な功績がある。
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黒橋 禎夫 ( Kurohashi Sadao )
京都大学大学院情報科学研究科 教授
(所属は、2008年10月1日現在) |
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受賞テーマ | 大規模テキストデータに基づく自然言語処理と情報検索の高度化 |
◇◇業績概要◇◇ 言語を処理するためには文法的知識だけでなく世界知識、常識が必要となる。これまでの計算機による自然言語 処理では知識の欠落が決定的な問題であった。黒橋氏は,大規模テキストデータと並列計算環境が利用可能となり はじめたことに着自し,大規模テキストデータから述語と名詞の結びつきのパターン(格フレーム)を大規模に学 習することを世界に先駆けて実現した。この格フレーム学習においては,テキストの自動解析結果からまず確から しい情報を抽出し,その情報によって自動解析を高度化し,そこからまた新たな確からしい情報を獲得するという ブートストラップ的手法を考案した。 また,Web情報の利活用において情報の信頼性は重要な課題であるが,計算機でこれを自動的に判断することは 困難なものの,情報を多面的にとらえ組織化するシステムによって利用者のサポートが可能であることを提案し, 自然言語処理技術の統合によって情報発信者や特徴的な言明・意見などから情報にアクセス可能なシステムを構築 した。
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外林 秀之(Sotobayashi Hideyuki)
青山学院大学理工学部電気電子工学科 准教授(所属は、2008年10月1日現在) |
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受賞テーマ | フォトニックネットワーク応用に向けた超高速光エレクトロニクスの先駆的研究 |
◇◇業績概要◇◇ 多様な形態の情報を、広帯域ネットワークを通じて自由に取り扱えるユビキタス環境の実現は、生活や経済の高度化に大きく寄与するものと考えられている。 情報伝送・転送機能を光領域で行うフォトニックネットワークは、超大容量情報通信技術としてユビキタス社会における不可欠な社会基盤構成要素となっている。 外林氏は、フォトニックネットワーク応用に向けて、光の持つ属性を極限まで活用する多様な超高速光エレクトロニクス技術の提案・実現・実証を行った。具体的には、1)超高速光信号処理サブシステムの実証、2)超テラビット光時分割多重/波長多重ネットワークのシステム実証、3)コヒーレント光符号分割多重技術の開発とシステム応用実証である。研究手法としては、光材料探索・光デバイス開発にとどまらず、サブシステム適用・ネットワーク応用実証まで行い、材料・物理分野の基礎研究から情報通信ネットワーク実証の応用研究に至り、光エレクトロニクス先駆的研究を行った。
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染谷 隆夫 ( Someya Takao)
東京大学大学院工学系研究科 准教授(所属は、2008年10月1日現在) |
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受賞テーマ | 有機トランジスターを用いたフレキシブル情報通信デバイスに関する研究 |
◇◇業績概要◇◇ 新型のフレキシブノレ情報通信デバイスは、有機トランジスタと呼ばれるフレキシブノレな薄膜ト ランジスタを駆使して作製される。染谷君は、有機エレクトロニクス技術の最大の特長である「有 機トランジスタで大面積の集積回路が容易に作れる」ことに着眼し、電子人工皮膚など大面積セ ンサに有機トランジスタを応用する可能性を世界ではじめて立証した。この電子人工皮膚の業績 で、染谷君は、2005年に船井情報科学奨励賞を受賞するなど高い評価を得ている。新デバイス は、電子人工皮膚で鍵となった有機トランジスタの性能を飛躍的に向上し、さらに、大面積セン サシートとアクチュエータシートを集積化することによって始めて実現された。染谷君は、新デ バイスを実現するために、ポリイミドのゲート絶縁膜応用や物理的な切り貼りよる集積回路など 今後の素子化のスタンダードになると期待される数々のブレークスノレーを達成している(特許7 件申請)。また、同君は、有機トランジスタの伝導機構の解明や印刷製造プロセスについても世 界で注目される研究成果を次々と達成している。
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