第1回 FFIT振興賞受賞者


第1回 船井情報科学振興賞受賞者2件

大松 繁 ( Sigeru Omatu )
大阪府立大学大学院工学研究科電気・情報系専攻
 教授

(所属は、2001年12月1日現在)
受賞テーマ ニューロ技術による音響・画像情報を用いた官能検査システムの研究

◇◇業績概要◇◇

本研究は、競合型ニューラルネットワークが有している学習・識別能力を用いて、人間の官能評価に替わる高速で高精度な評価を実現する検査システムを開発し、音響、画像、匂いなどの情報に対応した知的評価システムの構築とその実用化としての工業製品の良否検査システムの開発に関する研究である。 工業製品の検査の多くは、音響データや画像データを用いた検査員の官能評価に頼っている。こ方法は人間の高度な知的情報処理を用いており、検査精度の信頼性も高い。しかし、検査員の体調や育った環境または検査員の個人差などによるバラツキが多く、日本での検査結果と中国での検査結果の著しい差異の発生事例に見られるように、製造業の国際化の進展によってこの傾向はますます顕著になっている。このため、官能評価の世界業界標準化の実現は製造業において必須であり、本研究はこれらの様々な環境に適用可能な官能検査システム開発の研究を行ったものである。

金光 義彦 ( Yoshihiko Kanemitsu )
奈良先端科学技術大学院大学物質創成科学研究科
 助教授

(所属は、2001年12月1日現在)
受賞テーマ ナノシリコンオプトエレクトロニクスの開拓的研究

◇◇業績概要◇◇

本研究は、ナノメートルサイズのシリコンおよびゲルマニュウム半導体微結晶からの強い可視発光を発見するとともに広範かつ系統的な研究を展開し、新しい「光るシリコン」の研究分野を開拓した。 様々な手法を用いてサイズおよび次元構造の制御されたシリコンナノ物質を作製し、それらの量子物性の解明と量子効果による新機能の発見を行った。さらに、シリコンナノ微粒子における高効率の青色エレクトロルミネセンス(EL)発光および大きな光非線形現象と光双安定性の発見、ナノシリコン薄膜を用いた光スイッチ・光演算素子や非線形伝導素子の開発等を世界に先駆けて行った。 金光氏の開拓した「ナノシリコン光エレクトロニクス」の分野は、量子論に基づいたシリコンの新しい機能創出という新しいタイプの研究成果によるものであり、その学術的・工業的意義はきわめて大きい。